2014年8月19日火曜日

第51回:モチベーション

我々治療家は、何かしらのきっかけがあってこの世界に入ってきている人がほとんどだろう。

家族の病気を治してくれた。
自分のケガを治してくれた。
自分も人を治したい。
あの先生みたいになりたい。

それぞれ感動的な出会いや出来事があったのでは。

私自身も、祖母が通っていた鍼灸院の先生との出会いがあってこの世界に飛び込んだ。
田舎にある鍼灸院だったが、とてつもなく人気の治療院だった。
その先生なら、「なんでも治す」と思っていた。
大学受験を前に「鍼灸をやってみれば!」とその先生に言われ、帰りの車の中で"舞い上がるような感覚"を感じるとともに、凄い先生にでもなったような気になったのを覚えている。次の日、学校で鍼灸学校の資料を探して、そのまま進学!単純。

私の中にある「治療家」のイメージは、その「何でも治す先生」だったので、必然的に私も自分は「なんでも治す先生」になるんだと思っていた。学校に入る時には、そのくらい勘違いしていて、学校を出る時には、それが確信になるくらいひどい勘違いをしていた。

いざ、臨床にでれば、そう簡単にはいかない。
私よりも上手で知識が豊富な先生がたくさんいたし、治せないことも多々あった。
それでも、確信までいった勘違いはそう簡単に変わらない!単純x2。

しかし、私も年齢を重ね、自分の実力は分かるようになってきた。
だからって、勘違いを直そうとは思わない。せっかくした勘違い。
いまは、そこに近づけるようにと日々を送っている。

「何でも治す」人に出会って、この世界に入り、「何でも治す」と勘違いし、「何でも治す」自分になろうと生きている。

あとは自分との勝負。

やるも自分、やらないのも自分。

誰も助けてはくれないし、他人の責任でもない。

そこで大切になるのが、「モチベーション」。自分で自分をモチベートする。
勝手にやる気になっているときはそのままに。
どうやってもやる気にならないときは、それなりに。
モチベーションとは気ままなもの。いつもあるわけではないが、フッと湧いてくることもある。

自分で自分に必要なことを探して、ちょっとづつ進歩する。
それ以外に方法はない。

目標があり、モチベーションがある。それを地道に続けられるか。
これは、他人に促されてするものではない。自分で継続するもの。
一度決めたことを、どれだけ継続できるか。細くなっても、ゆっくりでも継続する。

プロは、瞬間的に凄い集中力を発揮すれば良いのではなく、安定した集中力を持続させることを求められる。野球選手でもたまのホームランより、コンスタントに打つほうが良いだろう。

我々も同じ。

自然に、苦痛なく、安定して治療できるようする。

それには自分をモチベートして地道に練習するしかない。集中力を1秒でも長く続くようにする。

こうかな?こっちかな?なんでだ?疑問がモチベーション。

あの人凄いな!って、モチベーション。

こうなりたい!ってモチベーション。

うまくなりたい!ってもモチベーション。

掘り下げ、見つけて、掘り下げ、見つける。疲れたら一休み。
息切れするわけにはいかない。だから、休息も大切。

誰と勝負しているわけではない。自分との勝負。
あとちょっと、もうちょっと。

私がいるのは奥が深い世界。まだまだ奥には到達していない。見えてもいない。
一生見えないのかもしれない。本当に幸せな世界にいる。

まだまだやることはたくさんある。頑張るぞ!

先日、会社の経営をされていて、さらに、カウンセリングを勉強している方から、「自分が何か新しいことを始めようとするとき、それを躊躇させる気持ちは、恐怖や不安などと思われがちだが、深層心理では、責任が増えたり、忙しくなったりと、”凄い自分になることを望まない“という気持ちが原因になっている」と教えて頂いた。
なるほど!スーパーマンになってやる!