2012年10月5日金曜日

第4回 A.T.Still's Technique

オステオパシーの創始者アンドリュー・テイラー・スティルについて書いてみます。今日は良く目にするオステオパシーを作ったきっかけではなく、その技術に関する彼の考え方に焦点を当てて書いてみます。
 

Dr. スティルはオステオパシーの創始者として名前は知られているが、彼の行っていた手技については分からないことが多い。というのも、彼が行っていた筋骨格系の治療法のほとんどは20世紀の間に失われてしまっているからです。でも、後に、Richard Van Buskirk によって再発見され広められStill's Techniqueという名で残っています。

Dr.スティルは、カークスビルの道端で治療をしていました。それにもかかわらず、彼は筋骨格系の治療のマスターと考えられていました。このことは、Dr. スティルのところに多くの患者さんや生徒が集まったこと、そして、彼らの証言からも証明されています。

彼は"Lightning bonesetter"と言われていました。これは、彼が使っていた手技のスピードがとても速かったからです。治療の全てを早い手技だけでやっていたわけではないようですが、これらのことから彼は、主にHVLA(短く速い動きにより関節をポキッと鳴らす手技)を使っていたと考えられています。。しかし、Van Buskirk は、スティルは関節を鳴らすことが必ずしも良い結果を出すわけではないと言っていたと後述しています。

では、なぜ彼の手技は失われてしまったのか?秘伝の手技なので隠したかったのだろうか?
実はそうではないのです。主な理由としては下記の3つが挙げられます。
  1. Dr.スティルは、学校では解剖とオステオパシーの原理を教え、テクニックは教えなかった。
  2. Dr スティルは、これらの知識から、生徒がそれにあった手技を自ら生み出すと信じていた。
  3. Dr スティルは、一つの手技だけが最高であるとは考えていなかった。
彼は、多くの治療を通して最高の手技などないことを知り、授業のなかで解剖と原理を通してヒントを与え続け、自分がそうしたように生徒達が独自の手技を生み出すと強く信じていたのです。

そして、彼はこのようにその時の心境を語っている。
”私は、どこを押したり、引いたり、さすったりといったことを生徒にアドバイスをすることはない。こうすることにより、あなた(生徒)は考え始め探究者となり、何がノーマルで何がアブノーマルなかのを知ることができる。これを包括的に理解できたとき、あなた(生徒)は何をすれば良いかを知り、自分がしていることの結果を予想することができるのだ”。

さらにDr スティルは、自分の生徒とオステオパシーに興味を持っている人に向けてこのように言っている。
”世の中に骨の位置を動かす技術はたくさんある、そして、不自然な関節の位置を元に戻す方法もたくさんある。したがって、オステオパシーの術者は、骨の動きを整えるのに一つの手技やマニピュレーションに固執することはない。”

このような考えもあり、20年もあとに発明されたカイロにくらべ発展は大きく遅れをとった。しかし、彼の死後、当時の生徒達によりたくさんの手技が生み出されるのです。Dr スティルはこの事を予想していたのでしょう。
  • William Sutherland: Osteopathy in the Cranial Field)
  • Lawrence Jones : Counter Strain 
  • Gordon Zinc : Fascial techniques, common compensatory pattern
  • Hoover & William Johnson : Functional Technique
  • Fred Mitchell : Muscle Energy Technique
これらは、ほんの一例に過ぎないです。そして、Dr スティルの原理のもと、その手技はこの瞬間も生まれ続けています。

同じように生徒の一人だったAlan Becker(D Beckerの息子、Rolling Beckerの兄弟)は後のインタビューでいかなる手技も患者さんやその問題に合うように適応してく。そして、直接法、間接法を明確に分ける必要などないとも言っています。

つまり、これがオステオパシーなのです。 彼の原理のもと探究することがオステオパシーなのです。

 1つ、1つの手技がオステオパシーなのではないのです。そんなのに最高のものがないことは1900年代初頭の段階でわかっているのです。

オステオパシーは簡単でもあり、とても難しくもあるのです。それを決めるのは自分なのです。

でも、AT.Stillはもっとシンプルに考えていたのではないかなとも思っています。

最後は、紹介というよりも持論を展開してしまいました。





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