2014年7月12日土曜日

第50回:ドラゴンクエスト

日本の治療家の先生の熱心さはとても素晴らしい。非常に勉強熱心に感じる。
その中でも特に手技を勉強しようとする意欲が高いのではないだろうか。

オステオパシーにも無数の手技が存在する。
海外では、手技半分、理論半分くらいの割合でセミナーが存在する。
むしろ理論的なセミナーの方が多いくらい。日本では、手技のセミナーのほうが多いだろう。

手技を学ぶタイミング。
ドラゴンクエスト。

はじめはこん棒からはじまり、最後は~の剣。
レベルが上がらないと使いこなせない。

レベルが上がらないとというより、自然にそこに到達しないと最大限にその手技を使いこなせないように思う。

それぞれの手技には創始者がいる。そのお弟子さんたちがさらに発展させる。
それを習うと、創造当初の試行錯誤を飛ばして手技を使うことができる。
これは非常に素晴らしいこと。ワープしていきなり手技に行きつく。
それなりの効果も得られる。そして、多くの先生がこの効果を求める。

私は、この創造する際の試行錯誤を知りたい。
創始者の苦労や喜びの全てを感じることはできないかもしれない。
でも、どうしてこの手技をやろうと思ったのか?始めからこの形で使っていたのか?
他にも良い形があったのではないだろうか?当初の効果はどうだったのか?

いろいろ考えていれば、自然に似たような手技を使っていることがある。
効果があればそれを使っているだろうし、うまくいかないと改良を加える。
自然淘汰。日本の柔整業界は、手技に(一子相伝)神秘性を持たせたために、埋もれてしまった手技や名人が数多くいたのではないだろうか。

手技とは習うものでなく、自分で創造するもの。ATスティルの考え。
Drベッカーも「哲学、解剖、生理を勉強し理解すれば手技を創造することができる。そして、患者の身体になにが起こっているのかがわかればその手技を発展させることができる」と言っている。

このスタンスは非常に時間がかかるが、一番しっかりと成長できるのではないだろうか。

手技を知ることは、視界を狭くしてしまう可能性もある。
しかし、理論を理解すれば視界は拡がる。

このバランスをしっかりする必要がある。

ドラゴンクエストのように、力が強くなり、呪文を覚え、使える装備が増えていく!
はじめはスライムを倒すのことも大変だが、いずれボスを倒すことができる。

キャラクターによっては力が優位、他の人は呪文が強い。あるいは、バランス型。
いろいろな特徴がある。自分にあったスタイルを見つけるのが重要なこと。

全員が同じようなことをするのは管理は楽な半面、成長を止める可能性がある。
まずは、自分に合っているスタイルを知り、選ぶ。決まったら信じて進むもよし、いろいろやってみるのもよし。自分が好きなスタイルが自分に合っているとも限らない。

手技を学ぶことを否定しているわけではない。とても大切なこと。
でも、手技を活かすのはとても大変だということを知らなければならない。
手技を学んですぐに治せるわけではない。症状は改善できても治癒はできない。

オーストラリアの病院では診断、そして、どうしてその手技を選んだのかを先生と話すことはあっても、手技のやり方について話すことはほとんどない。もちろん質問すれば答えてくえるが、そこは重要ではない。知識は勉強すれば獲得できる。手技はすぐにはうまくならない。

Drフライマンも、手技のやり方を聞いても「あなたはすでにやり方を知っているでしょ?」といって答えてくれないが、どうしてその手技を選んだのかと質問するととても細かく説明してくれる。

「学校を卒業しても、オステオパシーには手技がありすぎて、どれをいつ使って良いかわからない。」という声を耳にする。この発想はとても日本的。教育システムの弊害かもしれない。

まずは、どこがどのように悪いか?本当に治すべきところはどこか?などを考え、それを治すのに最も良い方法を考え手技を選択する。

解剖学を治療に活かす。
生理学を治療に活かす。
手技を治療に活かす。

全て同じ。

手技を学んでいるというのは、知識を増やしているに過ぎない。したがって、いかに自分の治療に取り入れて行くかということが大切になる。これは解剖や生理も同じ。

手技を臨床に取り入れられないということは、解剖や生理も自分の治療に取り入れられていないのかもしれない。

治療に正解はないが、不正解はある。それは、きちんと診断せず、自分が何を治しているか分からないことだ。

手技を活かすも、そうでないのも自分次第。治せないのは手技の問題ではない。
手技を使いこなす自分になる。

いっぱい冒険をして、たくさんモンスターと戦ってレベルを上げなくては!

まずは、日本のオステオパシー業界をもっとオープンにしなくてはならない気がする。
どこかの大学で教えることはできないかな?