2014年11月24日月曜日

第55回:カンファレンスin New Zealand

先週、ニュージーランドで行われたカンファレンスに参加してきた。今回は、頭蓋オステオパシーの中でも少し特殊なバイオダイナミックという手技の勉強をしてきた。

ウエイティングリストに登録していたら3週間前に連絡が来て、そこから急いでいろいろ手配。

今回の会場「Mana Retreat Centre」は、オークランド空港から2時間ほど離れたところにあるのでレンタカーで行くことに。
空港から20分ほど走るとのどかな田舎道。馬、牛、ヒツジ。最後の30分は海沿いの細い道を走る。気持ちがいい。

バイオダイナミックオステオパシーは、頭蓋オステオパシーの創始者Drサザーランドが頭蓋の理論を深めていく中で、最終的にたどり着いたコンセプト。バイオダイナミックとは言っていなくてもDrフライマンやDrベッカーなどもこのコンセプトを大切にしていたようだ。

このテクニックの全て紹介するのは難しいので、今回も、このセミナーで印象に残った言葉を紹介させて頂きたいと思う。

「身体は、ニュートラルに戻りたがっている。」
ニュートラル。中間。車のギアが「N」に入っている状態。

私も、今回セミナーに参加して、いかに自分がニュートラルな状態を忘れていたかを感じた。
肉体的にも、精神的にもニュートラル。
常に、ニュートラルを感じられるようにしておけば体調を崩すことはない。
ストレス社会と言われる現代社会。 忙しさ、ストレスのなかで生きていると、ニュートラルに戻れなくなってしまう。そして、いつのまにか体調を崩す。

では、ニュートラルを感じるために必要なものは何かと言えば?

それは「休息」である。
「人間に最も必要なものは休息である。」
今回のセミナーはこの言葉から始まった。

日本人は、休み方がうまくないと言われている。長期休暇を取るのも難しいし、お休みも目一杯動いてしまう。とにかく、じっとしているのが苦手。
休みでもどこか焦っている。気持ちまでリラックスできないという人は多いのではないだろうか。
旅行は2泊で十分。海外ではびっくりされる感覚。
でも、2週間も休みを取ると疲れてしまう。これは疲れているのではなく、ゆっくりニュートラルに戻り始めている。だから、普段感じない疲労を感じることができるようになっているだけ。

子供は休息を取る名人である。無意識に行うことができる。
たくさんの友達と遊んでいても、急に一人輪から離れ静かにしている子供をみたことはがあるのでは?
自分で、受け入れられる情報がいっぱいになったと感じたら休息を取る。
リフレッシュして再び輪のなかに!

何かに夢中で外からの声が聞こえなくなってしまうのもこれに近い感覚。外からの情報をシャットアウトしている。
リフレッシュするまで待ってあげられると良いかも。

「正常の理解」
技術とは、その人の「正常な状態」の理解の深さに比例する。Drスティル。

治療家は、常に異常を探すことはするが、正常な部位を見ることをしないことが多い。
しかし、まずは正常とは何かを理解しなくてはならない。
正常を知っておけば、何を治療すれば良いかがわかる。
正常から逸脱した状態を元に戻せば良い。
不必要な治療がなくなる。

正常って?
異常って?
幸せって?

年がら年中治療を受けている人は、正常を逸脱している前に、ニュートラルに戻れなくなっている可能性がある。そこでゆったりできれば良いのだがさらにグイグイ、バキバキされてしまうと迷路に陥る。治療が新たな患者を生む。

Drサザーランドは、正常について以下のように述べている。
「平穏と協調の感覚」
心身ともに穏やかで、身体の全ての部が協調している状態。
これは、心と身体が周りや自然と協調していることも含んでいるのではないかと思う。

どの身体にも必ず正常はある。少しその正常に注目してみると、患者さんが抱えている問題が自然に見えてくるかもしれない。

「ニュートラル」「休息」「正常」。

「ストレス「多忙」「病気」。

元気なときはこれらに無頓着でも良いのかもしれない。でも、病気になったら生活を見直さなくてはならない。
同じことをしていたら、それに対する本人の意識が変わらない限り治らない。

身体はもともと身体を治すメカニズムを有している。それがしっかり働ける状態にあれば健康は保たれる。

忙しいときほど「ニュートラル」「休息」「正常」を意識してみよう。

今回は、セミナーで勉強しながら、自分自身が治療されてきたようだ。
行く前は、もっとアクセスしやすいところでやってくれればいいのにと思っていたが、 帰ってきたら身体にエネルギーを感じる。

大自然のなかでの生活。食事はベジタリアン。テレビやインターネットはない。

夜は、静寂。人間が聞き取れる中で一番小さな音だけが聞こえる。ほぼ無音。

時間というか空気がゆっくり流れているような気がする。
自分との会話も良くできた。

たまに、静寂に身をおいて身体の声を聴いてみることをお勧めしたい。
何かしらの変化を感じることができるだろう。

治療家の先生が、治療後に疲労感を感じるのは、治療のやり方に何かしらの問題があるとも言っていた。
日々、疲れている先生は、自分の治療を見直してみても良いかもしれない。

オステオパシーには偉大な先人がいる。
常に、先をみせて頂ける。本当にありがたい。
バイオダイナミックは自分の進むべき道のように感じている。