2012年12月1日土曜日

第26回:根本的な解決

我々、日本人は様々な啓蒙活動のおかげで「薬を飲めば病気が治る!」と信じている人が多いように思います。そして、知らないうちに医療費の増大に貢献しています。

確かに、薬には素晴らしい効果を発揮してくれているものはあります。しかし、薬というのはあくまでも対症療法であり病気を根本から治すというものではありません。

抗生物質も長期間使い続ければ効果がなくなるだけでなく、耐性菌により深刻な事態を引き起こします。ステロイドやNSAIDsなどにもそれぞれに副作用があることを認識しておかなくてはいけません。

高血圧、糖尿病、うつ、そして、腰痛など慢性のものは、その原因を取り除かない限り完治することはありません。治っては繰り返しするのは、その症状を一時的に楽にしているにすぎません。

薬によっては、長期間の服用により関節自体を痛めたり、肝臓を痛めたりしてしまうものもあります。そして、薬の長期服用は交感神経系を興奮させるのでより病気になりやすい状態にもしてしまいます。薬を飲むことにより実は完治からはどんどん遠のいているのです。

実は、手技療法も同じです。長期間に渡る不必要な刺激は、身体に痛みを記憶させます。そして、原因などを忘れ、そこが悪いと身体が勘違いをします。そうなれば治ることはありません。そればかりか、原因を思い出させるのに非常に苦労します。

では、根本とはなにか?

身体は本来ホメオスタシスと言って自然に治る力を有しています。不適切な薬の使用はこの機能を大きく低下させます。低下させるだけならよいですが、多くの精神薬のように皆無にしてしまうものまであります。

症状になる前には必ず何らかの小さなサインがあります。そして、慢性の症状には慢性になるだけの原因や理由があります。それは、肉体的、精神的、生活習慣、生活動作、食生活、人間関係、不安などさまざまなことがあるでしょう。少しおかしいと思ったら、立ち止まって自分に聞いてみるとよいのではないでしょうか。

特に、自分にはストレスがないと思っている人は注意が必要です。そういう人に限って、慢性の腰痛、肩コリ、頭痛や高血圧などの症状を持っている場合が多いです。でも、全くそう思っていない患者さんに強要する必要もありません。

原因をなくしておかないとどうなるか。身体は、あるストレスに対する対処を記憶してしまいます。なので、同じストレスに直面した時にまた同じ痛みや症状となって身体に現れることになります。これが症状が繰り返すメカニズムです。無視し続ければ慢性の状態になり、いずれ動けないような状態になります。身体が強制的にストップをかけるからです。

根本的に治そうと思ったら、自分の状態を知ることです。自分が本当にやりた事、楽しいこと。本当はやりたくない事、嫌いな事。いろいろあると思います。それらとどのように向き合うかも大切になってくるでしょう。

自分で気が付き、自分を変えていくことがとても大切になります。私は、治療で身体や気持ちにきっかけを与え、患者さんの身体にある自然治癒力を引き出すことをします。あとは、患者さんの身体に任せます。つまり、患者さんの身体が治しているのです。私ができるのはそれだけです。根本もヒントは見せますが、それ以上はしません。患者さんが答えを出すことが大切と考えています。

みなさんも自分にある症状や状態を変えたいと思ったら、自分の身体に原因を聞いてみて根本から治してみてはいかがですか?

増大する医療費が減らせるかもしれません。



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