2012年11月12日月曜日

コラム:モノの教え方&運動の仕方②

先日、モノの教え方&運動の仕方(http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=6902311061894011594#editor/target=post;postID=4223088751855473924)について書いた。今日はその続きを書いてみる。続きというよりその番組の宣伝になってしまいそうだが。

先日BSプレミアムで;旅のチカラ「YAWARAの魂に迫る~吉田秀彦 フランス~」という番組を見

その番組は、ロンドン五輪での日本柔道惨敗を受けて、バルセロナオリンピック金メダリストの吉田秀彦氏がフランスを訪れると言うものだ。フランスは現在世界最高の柔道人口を誇り、ロンドン五輪で大会最多のメダルを柔道で獲得している。

日本とフランスのどこに違いがあるのか?吉田氏は日本柔道への危機感とともに町道場を訪れる。

吉田氏はオリンピック選手を輩出した町道場をいくつか訪れて行くうちに、その練習風景を見て衝撃を受けることになる。 そこには、日本では見ることができない練習風景があった。子供たちとても楽しそうに柔道に取り組でいたのだ。もちろん、先生が声を荒げることなどはない。

フランスでは、柔道の基礎を4年間かけて行う。まずは、柔道を楽しんでもらい、黒帯を取るまで続けてもらうことに重きを置その後、レベルに合わせて厳しくなっていく。とても自然な流れだ。

その楽しそうに練習する子供たちを見た吉田氏は、「今まで柔道をやっていて楽しいと思ったことはない。」と言った。五輪で金メダルを取った人が柔道を楽しんだことがない。他に誰が楽しいと思う事ができるのだろう。

さらに、そこにでてくるフランス人柔道家たちは口をそろえて、「柔道は人生だ。柔道からいろいろ教えてもらう。」と言う。多分、誰に教えられるわけでもなく、そういう考えに行きつくのだろう。それこそまさに’道’なのではないかと思う。日本より、日本っぽい。日本でやっていてそういう考えに行きつくことができるのだろうか。

はじめに楽しみを教えるフランス、はじめから厳しくする日本。今回のオリンピックを見るとどちらの方が良い結果をもたらすのかを分かって頂けるだろう。さらに、ある程度の段階に行きついた時のその競技に対する愛情、心構えなども大きな差が生まれているように感じる。

では、日本の厳しい教育を支えてきたものは何なのか?日本軍国主義が終わったも、教育という枠から完全にそのシステムを排除することはできなかった。それはいまでもできていない。これは、「人は自分が教えられたようにしか教えることができない。」という考えに従えば納得頂けるだろう。 他の方法をしらないので、知らないうちに自分がやってきたことを正当化してしまう。幼稚園、小学校、きちんとしている子が良い子だ。個性がある子は良い子に成りずらい。

もう一つの重要な要素は、日本の人口の多さだう。これは、先に書いたオーストラリアともフランスとも圧倒的に違う。オーストラリアは日本の6分の1、フランスでも2分の1に過ぎない。
したがって、日本には変わりがいくらでもいるのだ。むしろ、多少厳しくしないと、振り落とせなかったのかもしれない。

この考えからいけば、日本でもサッカー、野球、水泳などまだまだ競技人口が多いスポーツでは厳しくしてもスポーツのレベルが落ちることはないだろう。次がいる。極端に競技人口が少ないアイススケートなどの純粋培養も別だ。しかし、柔道、相撲、ラグビーなど競技人口がどんどん減少しているスポーツでは、いままでのようにはじめから振り落とすと誰も残らなくなってしまう。結果として、あるレベルに達すると甘くするしかなくなる。あるレベルに達すれば競争があるようでない。悪循環。こうなるとこれらのスポーツはレベルがあがらなくなり、いつのまにか衰退してしまう。

この状況を説明するのにとても良い例が番組の中にあった。吉田氏は、「日本では、柔道の強化選手同士が直接練習することはありえない」と発言している。私もこの発言にはビックリした。フランスでは、強化選手は1年を通して合宿生活し、お互いに日々切磋琢磨する。そのレベルにきて初めて本当の競争がはじまる。日本と全く逆である。どちらが強くなるかを見るより明らかだ。

いざ勝負。となった時に延びる可能性がない、あるいは競争させられないのでは話にならない。小さい頃の何年間をフランスやオーストラリアのように楽しんでスポーツをさせても、行きついた時には追い越されてしまう。我々は、このことに早く気が付かなければならない。

これはスポーツだけでなく、様々な分野にも言えるのかも知れない電化製品、映画、政治力、学力。

楽しむことから始め、好奇心を抱かせ想像力を駆り立てるそして、いざ必要な時には持っている力を爆発させる。

小さなころにしっかりと人間力を育てる。親が過度な期待をしない事が重要なのかもしれない。

11月15日(木)BSプレミアム:午前8時から再放送があるようだ。もし、興味がある方は見てみてください。

  

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