2012年11月10日土曜日

コラム: TOXIC PARENTS

先日、「毒なる親」という本を読んだ。内容はどうあれその中に気になった一節があったのでそれについて書いてみる。

「自分にはできない」と思っているのは、実際には「できない」のではなく、「していないでいること」を選択しているのである。
「自分にはできない」という考えは、そう思った瞬間に自分を縛ってしまう呪文のようなものだ。実際には自分の意思で「しないでいるのだ」ということをはっきりと自覚してほしい。
選択してそうしているのか、それともそうでないのかの二つには、大きな違いがあるからだ。

この本は、調べてもらえれば分かると思うのだが、親子関係、そして、その関係により子供の人生に及ぼす影響とその改善策について書かれている。そして、この一節は、ある問題を改善しようとした時にしばしば遭遇する「自分にはできない」という考えに対しての作者の意見だ。

なぜ私はこの一節が気になったのか?

この文はある意味で、治療にも通じると感じたからだ。では、この文を治療に置き換えて書いてみる。

「自分は治らない」と思っているのは、実際には「治らない」のではなく、「治らないでいること」を選択しているのである。
「自分は治らない」という考えは、そう思った瞬間に自分を縛ってしまう呪文のようなものだ。実際には自分の意思で「治らないでいるのだ」ということをはっきりと自覚してほしい。
選択してそうしているのか、それともそうでないのかの二つには、大きな違いがあるからだ。

もちろん全ての症状がこれに当てはまるわけではない。事実、多くの方が治りたいと思っているし、自然治癒力を有している身体は治そうとする。

では、なんで何年も治らない症状があるのだろう。何年も治らない腰痛。何年も治らない肩コリ。何年の治らない心の問題。身体には何が起こっているのだろう。筋肉であれば6-8週位の内に治癒するのではないだろうか。骨であっても12-15週もあれば元に戻るだろう。でも、実際はそれよりも長く通院している人の方が多いのではないだろうか。

最後の、「選択してそうしているのか、それともそうでないのかの二つには、大きな違いがあるからだ。」
この一節も実に重要だ。「様々な治療をしたり、生活習慣を改善したり、自分の症状につしてしっかり勉強や分析しているのに治らない」のと、「何もせず、何も改善せず、自分の症状が何なのかも知らないで治らない」ので大きな違いがあるからだ。

同じ治らないにも背景はいろいろある。しかし、我々は、その症状、状態がこのどちらに由来するものなのかをしっかり見極める必要がある。前者の場合は、いずれ改善する時がくるだろうが、後者の場合には、まずそのことを気がついてもらわなければならない。認識しないかぎり改善は見られない。

オーストラリアでは、患者さんを自立させることをとても重要に考えている。治療に依存させることはあってはならない。1つの手技に依存したら、その手技を使わないようにしろと言われるくらいだ。このことはどの先生にもとても厳しく言われる。

患者の選択。患者の自立。選択を見極め、自立を促す。頑張って行こうと思う。

ちなみに、その本によると、頭痛、胃腸の問題、身体のコリ、疲労感、食欲不振、過食、睡眠障害、吐き気、などは、「毒なる親」を持った子供が成人後によく見せる症状だそうだ。




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