2012年10月10日水曜日

コラム:オーストラリアのオステオ事情

間接法の説明に行く前に小休止ということで今日は、オーストラリアのオステオ事情を書いてみます。

現在、オーストラリアには3つの大学にオステオのコースがあります。そのうちVictoria Uni とRIMTはビクトリア州に、Southern Cross Uniはニューサウスウェールズ州にあります。私が留学した2006年にWestern Sydney Uniのコースはなくなってしまいました。どの大学も3年の学士、2年の修士を合わせた5年のコースになっています。ビクトリアのコースが一番大変だという噂です(多分、どこの学校の人も自分のところが一番大変と言っているでしょう)。

3年が終わると、マッサージの国家資格がもらえるので、みんなマッサージ師として働き始めます(うちの大学だけかもしれませんが)。時給はなんと30ドルとか40ドルです。こう聞くととても高く感じますが、オーストラリアの最低賃金は15ドルくらいなので、マックでも、サブウェイでも、スーパーマーケットでも20ドルとるくらいはもらっています。まぁ、その分物価がとても高いですが。向こうの大学生はとってもお金もちです。かわいそうなおっさん留学生にいつもおごってくれました。

少し話しがずれましたが、5年のコースが終わるとナショナルボードに登録してはれてオステオパスとなります。1年目は、だいたい2つ、3つの院を掛け持ちで働き始めます。月曜はAクリニック、火曜日はBクリニックというようにある程度の患者さんが付くまではあちこち動きまわります。このシステムは実はとても良くできていて、それぞれ特徴のある院を選ぶことによっていろいろな手技を学ぶことができるのです。

このようにまじめに働き始めるのはクラスの60%くらい。あとはというと、5年も大変なことしたのにすぐに働けるわけがないと言って、世界中を旅したり、全く違う仕事をしたり、中には医学部に進学したりする人もいます。まぁ、なにするのも全く急がないのがオージーの良いところです。

学校の配置の関係からか、オーストラリアのオステオパスのほとんどがビクトリア州とニューサウスウェールズ州に集まっています。私のクラスメートもメルボルンは競争が激しいから他の州に行くといっている人がいました。でも、日本人の私からするとほとんど競争がないように感じるくらいです。
でも、イギリスではすでにオステオパスが余ってしまっているようで、その人たちがオーストラリア、ニュージーランドで働けるように法改正されたようなので、さらに競争は激しくなるでしょう。

本当にさまざまなスタイルのオステオパスがいるのも特徴です。日本の画一化されたオステオパシーからは想像できないと思います。筋骨格の先生、クリニカルピラティすといってオステ+ピラティスも最近流行っています。その他、クラニアルの先生、バイオダイナミックの先生。スポーツに特化した先生。スポーツトレーナー、パーソナルトレーナー、ヒッピーなどなど。様々な分野に進出して新しいオステオパシーが生まれています。日本のオステオパシーがいかに狭い範囲でやっているのかということが分かると思います。

オーストラリアには、オステオパシーの他に、フィジオセラピーという治療法もとても盛んに行われています。これは日本の理学療法士と言う感じなのでしょうか。もっと広い範囲の治療をおこなっているような気もしますが。2年前から6年のコースになり卒業するとドクターとして扱われます。最近、オステオパスとフィジオセラピストが一緒にに働く機会が増えてきているので治療法もボーダーレスになってきているように感じます。オステオパシーとこのフィジオセラピーがオーストラリアの人が怪我したときのファーストチョイスになっています。

オステオパシーは、これが正解というような治療法はないし、先生の考えがとても強く反映される治療法なので、個性の主張が大好きなオーストラリア人にはとても向いている治療法なのかもしれません。


0 件のコメント:

コメントを投稿