2012年10月24日水曜日

第15回 Osteopathy in the Cranial Field

本日は、Osteopathy in the Cranial Fieldについて書いてみます。と言っても細かい手技とかについて書くのではなくもう少し全体的なことを書きます。

クラニアルはエネルギー医学なのか?

世の中には、エネルギーヒーリングというのもがあり、それらは、神秘的な生命力やスピリチュアルエネルギーを基にした治療法を言います。
中国語ではQi(Chi), 日本語ではKi,(気) 、インドではPrana(プラナ)と言われてるものがそれらにあたります。我々東洋人にはとてもなじみが深いものですね。

では、それらのエネルギーはオステオパシーではどのように考えられていたのかというと、いままで何人かのオステオパスがその治療法にエネルギーと言う言葉を用いています。
有名なのは、クラニオセイクラルのJohn UpledgerやバイオダイナミックのJames Jealousなどが挙げられると思います。したがって、アメリカ生まれのオステオパシーにもエネルギーという概念はあるのです。

しかしながら、オステオパシーとしての頭蓋治療はエネルギーではなく、あくまでも生理学的なメカニズムを前提としています。日本では、オステオパシーの頭蓋治療とクラニオセイクラルの区別がついていない人が多いですが、ここに大きな違いがあります。

そうはいっても、頭蓋治療は、数々あるオステオパシーの手技のなかでも最も論争の的になるテクニックであることに間違いはありません。特に、もともとエネルギーの概念を持っていない国では理解されずらいのかもしれません。オーストラリアでも頭蓋治療を肯定的に話す人はほとんどいませんでした。

Osteopathy in the Cranial Fieldは、William Garner Sutherland によって生み出されました。サザーランドは、解剖で頭蓋骨の縫合に動きがあるのではと疑問をもちその研究とともに発展させていきました。
 
では、サザーランドはどのように考えていたのでしょう。彼はこのように述べています;

「筋骨格システムの障害を治すのに、患者自身の内にある力よりパワフルで安全な力はない。」

このように、患者の自然治癒力を促進することに重きを置き、外力を加えることを良しとしていません。「内なる力」という言葉を使っているので彼自身はエネルギー的な考え方をしていたのではないでしょうか。それを最近、生理学的にして行っているのでしょう。このように創始者の思いまでは継承できないようです。

オステオパシーの創始者AT.Stillは自分の子供たちを西洋医学に頼ったことによりに亡くしていたので、一切の薬、手術を行うことを良しとしていませんでした。(現在、アメリカではそれらを行っているのでここでも創始者の思いは消えてしまっています。そして、彼は宗教家でもあったので、「内なる力」のような授業などでされていたのかもしれません。これはあくまでも私の推測です。

頭蓋治療が日本人に好まれるのは、このような感覚にもともと優れているからなのかもしれません。
受ける方の感覚も鋭いので受け入れ易いのでしょう。

この間も少し話題にしたEvidence Based Medicine。これを突き詰めていくと近い将来オステオパシーでも使われなくなってしまう手技があるのではないかと言われています。

私の個人的な見解は、臨床レベルでは、患者さんが納得するような結果が出ればそのメカニズムや理論は二の次でも良いと考えています。人間はそんなに簡単ではないと思っています。しかし、それゆえにきちんとした教育が必要になります。1日、2日のセミナーに出た程度でやられては困るのです。カイロと言う名を使ってボキボキするのが乱立した時のように、クラニアルがとらえられてしまってはいけません。

この様な素晴らしい手技は、自分のさじ加減でどうにでもなってしまうので、自分も患者さんも裏切らないように常に知識を高め、技術を高めていかなければいけないと思います。

サザーランドがこの手技を生みだしていく過程を考えながら 自分の頭、患者さんの頭を触ってみてください。内からの力を感じるはずです。


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